さらに数日後、帽子掛けに付ける金属製フックを探して、西荻古道具街に。格子戸を頼んだ店の隣の店には、古いフックとかドアノブとかがたくさんあったはず。
しかしフックはなかった。その代わりテーブル板があった。脚はない。杉か何かの無垢で、厚さ2センチもなく、テーブル板としては薄いが、そのほうが私の好み。薄い無垢なのでしなっているため、低価格。たった8千円。「ビールを入れたコップを置いたら倒れるってことはないでしょう?」と店の人に尋ねると、「それは大丈夫」ということなので即決。裏には「清水家、昭和七年、新調」と墨で書いてある。家具屋に頼んで作ったテーブルなのだろう。
問題はこのテーブルの脚をどうするかである。和風生活なので30センチくらいの脚がいる。脚がなくても様になりそうだが、本を読んだり、書き物をしたりするにはやはり脚がいる。
そこで思いついたのが古いスピーカーの活用である。古いスピーカーは木が良い。ちょうどテーブルの裏側の枠に収まる大きさのスピーカーをヤフーオークションで探して落札すればいいんじゃないか。
同様に、AVラック代わりに買った板も、板の下にスピーカーを脚代わりに置けばいい。お金がないと知恵が働くものだ。そのほうがリノベとしては面白い。そして、お金がなくて知恵を働かせている者に、神様は何かを授けてくださる! おお、金の斧、銀の斧、いえ、わたしの斧は鉄の斧。正直者は救われる。
さて、テーブルの脚としては高さ57センチの黒か焦げ茶のスピーカー、AVラックは幅が37センチなので高さ35〜37センチの白っぽいスピーカーがふさわしいので、それをヤフオクで探した。みなさん、あまりスピーカーのサイズを書いてないのだが、ちゃんと書きましょうね。もちろん、サイズを問い合わせれば、すぐに答えてくれるので便利だ。
3週間ほどで、いずれも落札完了。テーブルの脚のほうは、25年くらい前のビクターの安物で、素材が悪いが、まあ、テーブルの下に隠れるので妥協しよう。1500円だし。
AVラックの方は、やはりビクターだが、名機SX−7の小型モデルのようなものらしく、多少お高く、9700円。かくしてテーブルは9500円、AVラックは1万7700円で出来上がった!
肝心のフックだが、古道具屋では見つからず、東急ハンズとか島忠ホームセンターとかでも探したが、良い物はない。結局ヤフーオークションで落札。5本で1500円くらいだったかな。しかし新品なので今ベランダに置いて錆びさせている。あらかじめ錆びたフックもオークションに出ているが、これは1本4500円もする。吉祥寺の雑貨店でも同じような錆びたフックを売っているが、やはり3000円から4000円ほどする。だったら新品を錆びさせたほうが安い。
写真 テーブル板。まだ脚がないとき。座布団は京都の老舗のもの
写真 金属フックは錆を付けているところ
さて、床は決まったが、本棚はどうする? そもそも仕事場に本があふれているから「不通庵」を作るのだ。本が入らないと意味がない。しかし、仕事場にあるエレクタを持ってくるのでは、テイストが合わない。古い本棚を古道具屋で買っても良いが、、、なんかいい手はないか。
それから、キッチン。これは道子さんの案では40万円したが、当然却下。ミニシステムキッチンみたいなものもあるが20万円はする。これは業務用のキッチンを中古でも良いからバラで買って並べようと思った。 ちょうど井の頭通り沿いに業務用厨房機器の中古品を売る店があるのでそこに見に行った。当日はサイズが合うものがなかったが、まあ、4,5万円もあれば、シンクと調理台は買えそうだ。
その後、井の頭通りを自宅に向かって自転車をこいでいると、小さなアンティークショップがある。その店先に、これは!というものが置いてあった。
それは、昭和初期によく作られたもので、帽子掛けと傘立てが一緒になったものである。私は昔からこの家具が好きで、いつか機会があったら自宅にこれを置きたいと思っていた。それがそこにあった。しかもすごくいい色つや。値段はなんと、たったの5千円! 背板が割れているのと、フックが1つしか付いてないので安いらしい。これはめっけもの! 即決。
翌日、本棚をどうしようかと考えて、ふらふらっと近くの材木屋に入る。するとすると、そこには、かつてどこかの家で作りつけになっていたとおぼしき本棚が解体されたものが売られているではないか! それが証拠に棚板をつけるねじ穴が空いている。これを組立て直せばいいかも?
これも即決。値段、3万7000円。ついでにAVラックの代わりに分厚い板も購入。これも8千円程度。いずれも木は無垢で、新品を買うと高いらしい。新品の無垢の木で本棚とAVラックを作ると100万円くらいするので、それが4万5千円で済んだというのは、ものすごくお得!
もちろん、作りつけだったものをそのまま再現しても不通庵には合わないので。高さを短くしたり、棚板の長さも切ったりして調整したが、ちょうど壁にぴったりに付けることができた。
写真 井の頭通りのアンティークショップで見つけた帽子掛けと傘立てが一緒になった家具。5000円。
写真 材木屋で見つけた本棚を再構成。
写真 同じく材木屋で見つけた板と中古スピーカーでAVラックの代わり。
さて、話を久しぶりに不通庵に戻そう。
同潤会のドアを使い、バスルームをガラス張りにして、床の素材を選んだ、そして最初に設計者の大月道子さんに送ったのが加賀まりこまの写真というあたりまでで前回終わったが、そのつづき。
その後、私の要望をできるだけ聞くというところから設計はスタートした。部屋は北向きで、本来1DKのような造りだが、これをワンルームにする。すると、西側の壁が5mほど空く。そこをすべて作りつけの本棚にしたいと思った。ただし、将来賃貸に回すことも考えるとクローゼットもあったほうがいいので、5mのうち1mをクローゼットにした。
ついでに南側の壁はオーディオ・ビデオスペースということで、AVラックも注文することにした。
それから玄関は、ドアを開けていきなり部屋が見えるのは嫌だなと思ったので、古道具屋で格子戸を仕入れて付けようと思った。これは西荻の古道具屋にある。ただし2枚ごとでないと売らないらしい。値段は2枚で7万円。ヤフーオークションでは1枚2万円以下でも売っているが、直に見られないのが難点だ。
それと最初に道子さんと西荻古道具屋めぐりをしたとき、高さ80センチ、幅80センチくらいの棚を買った。これは本来食器を入れる棚かと思うが、買ったときはこれを玄関の下駄箱にしようと考えた(最終的にはやはり食器棚になります)。
それから北側のアルミサッシには障子をはめる。障子は雪見障子。とまあ、こんなふうに要望は広がったのだ。
しかし見積もりを見て驚いた。900万円を超えたのだ! 30平米弱のマンションの改装で900万円はやりすぎだ。当初予算はせいぜい450万円だったのだ。二倍である。かなりスペックダウンしないといけない。では、どこを削るか。
まず作りつけの本棚、クローゼット、AVラック、すべてカット。
障子、カット。格子戸、カット。要するに今まで書いてきたこと、すべてカットである。
もっと細かいところでは、電源コンセントもすべて位置を変えて付け替えるはずだったが、すべて既存のママ残すことに。まあ、それでかえってNATIONALという懐かしい文字が入ったコンセントが残ったのだが。
あと、フローリングの素材。これが平米3万円以上の高級品だったので、これを値下げしないといけない。しょうがないから、Pタイルにするかという案もあったが、やはりそこは譲れない。リノベする意味がないと思いとどまる。集成材も見たが、やはり無垢の木を使いたい。
そこで道子さんと再びマルホンへ。何かいいものはないかと思ってサンプルを見ていると、平米1万円のものがあった。
それは桐だった。床に桐? 意外である。しかし、桐の白い色は不通庵にふさわしそうだ。桐は手触りが柔らかいし、暖かい。不通庵では椅子とテーブルの洋風生活ではなく、床に直に座る和風生活をしようと思っていたので、柔らかく、暖かい桐はぴったりのような気がする。しかも、北向きの部屋だから床の色が白っぽくて明るいほうがいいし、座ったときに暖かいのもちょうどいい。
マルホンで桐やその他の床材の見本をもらってマンションの床に置いてみると(ちなみに改装前の床はPタイル)、やはり桐はぐっと暖かい。決まり! 床は桐で行く。
写真 桐の床と後述するコンランショップのカーテン。ナチュラルです。