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7時、朝食。7時半、出勤。8時、オフィス着。仕事開始。メールチェックが終わると、執筆。午後、接客または外出。哲学者カントのように 規則的である(不通庵ができてからは、8時から10時まで不通庵で読書)。
たいてい仕事は午後4時か5時には終わる。その後が暇なときは銭湯へ行く。風呂を出ると古本屋。そして居酒屋で食事。という、いかにも『東京人』の川本三郎のエッセイみたいな暮らしが理想。
先日風呂上がりに古本屋で見つけた本が『植草甚一主義』。植草甚一は、昨年世田谷文学館で展示があったり、最近は朝日新聞で大きく取り上げられたりと、 なぜだかまた注目されているようだ。世田谷文学館の展示もカタログも良かったが、この『植草甚一主義』は版型がB4版と大きい。やっぱり大きい方がぜった い良い。植草ワールドのめくるめく世界がじんじん伝わってくる。
さて、リノベ日記。
古いマンションをどのように改装するか。当初から決まっていたのは床を無垢の木のフローリングにすること。それから、事務所にあふれる本の一部を保管する書庫としての役割を持たせるということだけである。
具体的にどうデザインするかと考えている頃、ちょうど東京大学の大月敏雄先生(当時は東京理科大学)と「団地博覧会(ダンパク)」というイベントを見に、大阪に行った (それにしても団地ブームは一気に広がったなあ)。大月先生とは、今阿佐ヶ谷団地の研究をしているところなので、それもあってわざわざ大阪まで出向いたの だ。
大月先生は、同潤会アパートの研究者として有名。同潤会だけでなく、近代日本の集合住宅のことなら日本一知っている人だ。
翌日の午前中は京都の揚屋の「角屋」を見学、午後は京都で町家のリノベーションを中心に活動しているローバー・アーキテクトの野村正樹さんに、ご自身の作品を案内して頂いた。これで私のリノベ心に火が燃え上がった。
角屋は普通じゃない。障子や欄間のデザインも部屋ごとにことごとく違っている。趣向を凝らすとはまさにこのことかと感心しきり。野村さんのリノベ町家もよかった。私は、こういう風に和風にリノベしたいと思い始めた
そして大月先生と話しているうちに、先生が「じゃあ、同潤会の遺品を使いませんか」とおっしゃった。先生は同潤会の研究者だから、同潤会アパートが取り壊 されたとき、以前から調査で付き合っていたアパートの居住者の方に頼んで、ドアとか窓とかをはずしてもらってきているのだ。そられの遺品 は大月先生の研究 室に、段ボールに包まれた まま保存されている。しかし、保存されているだけで、誰にも公開されないし、活用もされない。それくらいなら、同潤会が好きな私 の部屋に使ってくれたほうがいいという話なのである。
これは願ったりかなったりだ。同潤会の遺品を自分の部屋に使えるなんて、面白い! 即決!
早速後日先生の研究室を訪ね、かずかずの遺品を見せて頂き、そこからトイレに使われていたというドアを選んだ。トイレのドアだからリノベ後もバスルームのドアに使うのがよかろう。
時間は前後するが、団地博覧会の当日の宿泊は「堂島ホテル」。これも昔からあったホテルをリノベーションしたものだ。内装は大阪の家具屋「graf(グラフ)」が担当したもの。バスルームはガラス張りだった。
ガラス張りの風呂やトイレは『Casa BRUTUS(カーサ ブルータス)』のような雑誌ではよく見るが、私はガラス張りの 風呂やトイレなんていやだなと思っていた。ところが、実際使ってみると、これがよかった。ホテルのバスルームは、よほど高級ホテルじゃないかぎり狭い。天 井も低い。それが、ガラス張りにすることでぐっと解放感が生まれる。風呂に入ると気持ちがゆったりする。部屋の側から見ても、部屋が広く感じられる。なる ほどガラス張りにはこういう効果があるのかと思った。では、わがマンションのリノベでもガラス張りバスルームを導入しようと決めた。
どうせ、ワンルームの書斎で一人で使うのだし、将来賃貸に回したり、売ったりすることがあるとしても、住むのは一人のはずだからガラス張りでも問題ない。
こうしてバスルームをガラス張りにすることと、同潤会のドアを使うことが決まった。